私は美容師として約10年のキャリアを持つ一方、「飲食で独立したい」という夢も抱いていました。そのため、まずは飲食業を学ぶ目的で、同グループの株式会社シマダハウスのフード事業部に入社しました。しかし、コロナ禍を機に「今だからこそできることがあるのでは？」という思いが芽生え、当時のシマダリビングパートナーズの社長との会話の中で訪問美容室「ひばりサロン」の話が持ち上がりました。とはいえ、美容師としての経験がある私も介護については全くの素人。そこで、介護職員初任者研修の資格取得を目指し、一週間のうち4日は研修を受講し、1日は飲食店の店舗に立つという生活を約2カ月続けました。資格取得後はシマダリビングパートナーズに転籍し、最初の2カ月は介護施設で働きながらさらに学びを深めました。その後、晴れて「ひばりサロン」をオープン。ヘアカットやカラー、パーマ、ネイルを行えるだけでなく、ハーブティーもご用意するなどこだわりのサービスです。

「ひばりサロン」では、資格で得た知識と現場で養った観察眼を活かして、利用者の入浴頻度や身体的状態を把握し、それに応じたヘアスタイリングを提供しています。例えば、次回の入浴までの日数を逆算し、スタイリング剤の使用を提案することで、ご利用者様が快適に過ごせるよう工夫しています。また、認知症の方に対しては、普段と異なる些細な違和感があれば施術内容とともにカルテに記録し、介護スタッフと情報を共有。このように“現場を知っているからこその気配り”を大切にし続けた結果、コロナ禍が落ち着き、外部の美容サービスを利用する選択肢が増えた今でも、「ひばりサロン」の需要が高まっています。現在、「ひばりサロン」は私とアルバイト2名のチームで運営しており、月の利用は約220名。美容×介護という独自の働き方で、今よりも多くの方を幸せにしたいと思います。